特集 心理学
心霊現象のはなし
小熊 虎之助
1
1明大法学部
pp.72-75
発行日 1958年4月15日
Published Date 1958/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910591
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心霊現象と普通に総称されている1団の奇怪な現象がある。それは人間精神の奇異な能力や奇異な性質に関係した現象一般をさすものであるが,それらの上に心霊という名がかんむりづけられたのは,人間心霊の神秘な能力の発現として,進んではまた肉体を超越した幽玄な心霊存在の示現のように,それが考えられ易いところから来たものであると言える。
しかし私は科学的研究の上から,これらの現象をむしろ奇異現象と総称したい。それは2つの意味からである。第1は,この現象が,日常普通に見られない比較的まれな,異常珍奇なものだからである。第2は,この現象が現代の自然科学,特に心理学,生理学,物理学などの法則上から公認されていない,すなわちその法則を破る怪奇な性質をもつているからである。
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