講座
冠状循環に起る病気の病態生理—循環器疾患の病態生理(3)
阿部 正和
pp.57-64
発行日 1958年1月15日
Published Date 1958/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910524
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冠状血管の病変で死亡する人間は相当に多い。俗に心臓麻痺で死亡したとされているものの大部分が冠状動脈の病変によるものと考えられている。また年令が長じて全身の動脈血管に硬化性病変がはじまるに至ると,この冠状血管の硬化症がとくにいちじるしいことも興味ある事実である。米国では冠状動脈の病気が心臓病の80%を占めるといわれ,冠状循環の生理及び病態生理が,医学のなかでもかなり重要な部門を占めている。我が国ではそれほどでないにしても,冠状動脈の病気は心臓病全体の20%を占め,しかも生活様式が漸次欧米化しつつある現状であるから,将来はこの%が更に増大することも考えなければならない。
ここには冠状循環のあらましを述べ,次いで狭心症,冠状動脈硬化症,冠状動脈の閉塞(心筋梗塞)などについて解説を加えることにする。
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