特集 知つておきたい麻酔のすべて
麻酔の歴史
伊津野 章
pp.18-24
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910313
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疼痛に対し無痛の試みは,2000年前から行われていたのであるが,これが少しく普遍的になつて来たのは,ず一つと後のことである。昔のエジプト及びアラビア人は,大麻の香を嗅いで睡眠をおこしたと云われているしアリシア人は“けし”及び朝鮮朝顔の鎮痛及び睡眠作用について知つていた。
ローマの作家pliny(23〜79A.D)も,朝鮮朝顔の汁について「この汁の麻酔作用は人により量を異にする。蛇に咬まれた人や身体に切開や注射をうける人には鎮痛のためにこれを与えるがよい」と云つている。この朝鮮朝顔の利用は,私が終戦前中華民国同仁会病院に勤務しているとき,漢方医が利用しているのを見たことがあるが,可成りの鎮痛作用があつた様に記憶している。
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