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国立療養所久里浜病院附属高等看護学園
土門 林子
,
荻原 節子
pp.40-43
発行日 1957年2月15日
Published Date 1957/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910284
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私達の看護学院は三浦半島の南端に近く東京湾に面した場所で,有名な城ヶ島にも,史上に名高いペルリ上陸記念碑にも近接し,遠く房総半島を望む磯の香につつまれた海浜に建つて居ります。東京より横須賀線にて約1時間半,終点久里浜より更にバスで10分程山道をゆられて病院につきます。此処をお訪ねになられる人々は誰もが冬暖く寒椿や水仙の咲くこの地を「別世界の様ですね」と目を見張られます。東京湾内海の波が静かに岸を洗い,後には奈良の若草山を思わせるなだらかな山が峯をつらねています。故郷を離れて入学した当時,私達は黒松の防風林の中に点々と建てられた病棟の間を行き来する看護婦さんの自衣姿に大きな憧れの瞳を向けながらその美しさに陶然としたものでした。散歩の道すがら浜辺で桜貝を拾つたり,夕焼け雲をのこして沈む太陽に向い涙を浮かべながらも,この風景の中に自分の生さ甲斐を見い出す様になりました。
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