口絵
四階建の円形建築—武藏野日赤高等看護学院
pp.1-4
発行日 1956年9月15日
Published Date 1956/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910171
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円柱形の明るい四階建鉄筋コンクリートの学院校舎,寄宿舎が,本年4月武蔵野日赤に建てられて,わが国でも画期的なものとして,医療界,建築界に話題をよんでいます。此の円柱建築について,この校舎の設計を担当された建築総合計画研究所長の坂本鹿名夫氏は,「庭先のホンの少しの土地を利用し,而も余り眼障りにならない様に設計した円形校舎,敷地の面積はいらない様で内部は仲々広く使える。採光,通風に申し分なく,気ずかわれていた中央広間の騒音も天井や壁に吸音剤を貼つて可成りふせげた。各室の入口には防音,防火用の鉄扉が仕込んであるので,いざという時には,隣室が火事でも悠々と仕事をして居られる。三階以上を講堂に出来た(一,二階が各教室になつており,三,四階を利用して講堂になつている)のも円形校舎なればこそ可能の芸当で,この点絶対に,従来の矩形校舎の真似の出来ぬ所である。此の様に円形建築の特徴は種々あるが,最大の特徴は何といつても総てに経済な点で,従来の矩形建築費の半分で出来ること,その原因は主として構造にあり,鉄が1/4,コンクリートが1/3,その他配管,配線がすべて中心部一カ所に集まること等による。その上面積が短形の八割ですむこと。外壁や柱の少いこと等で例えば矩形のもので坪当り7万円程度がいるものならば,4万円以下で充分仕上る」と説明されています。とにかく鉄筋ビルにしては,ウソの様な安さです。
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