講座
脳外科手術後の看護について
八木原 敬子
1
1中京病院外科脳神経科
pp.17-20
発行日 1955年2月15日
Published Date 1955/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909746
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日頃多くの脳手術患者を,取扱つて居る私達は,他の一般手術患者と異つて,特に看護に頭を悩まして居ます。それは,脳手術患者は意識不明の状態に長くある事,症状の急変が起り易い事,即ち予想出来ない危険な状態に立到る場合が比較的多い事,であります。手術の後処置は,看護の面からも私達は,医師の手術中の苦心よりもつともつと多くの術後看護の,苦心があると申しても,広言でないでせう。そこで,脳外科手術患者の看護は,熟練した看護婦が居なければ,折角手術をしても先生方の努力を空しく水泡に帰してしまう様な事になることを,銘記しなければならないと思います。脳手術後の看護は,馴れた看護婦が居なければ,或は手が空いて居なければ,それ迄手術を待つてもらい度い位だと思つて居ます。「脳手術は完全であつても,手術完了を以つて手術の目的を完成したなどの考えは誤りであつて,脳手術の完了は手術目的の半分を達したのに過ぎなく寧ろ,術後の注意と処置看護が更に緊要である」と云う事は,常に私達の医局に於て,部長より指示されて居ます。先ず脳手術後の看護の特長は,殆んど昼夜つききりで,看護婦1人,患者1人の心構へが,必要であつて,私達は,術後の重篤なる患者に対して医師と共に徹夜をなし,先ず術後24時間の精密なる観察を行つて,事故の起る事を未然に防ぐ様に注意しています。次に其の要点を述べて見度いと思います。
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