講座
心臓手術と後処置
岸本 頼子
1
1東京女子医大
pp.18-24
発行日 1955年1月15日
Published Date 1955/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909725
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1.まえがき
第二次大戦が終り,再び世界医学の交流が行われるようになつてみると,米国では心臟外科の領域にも著しい発展のあることが明かになつた。しかもそれは,気管内閉鎖循環式麻酔という麻酔法の進歩とペニシリン等の抗生物質の発現に負うところが大であつた。近年我が国に於ても,この分野の研究が擡頭し,1951年,5月,榊原享博士,榊原仟教授兄弟がボタロ氏管開存症の手術に初めて成功されたのをさきがけとして,日進月歩の勢で検討が重ねられてきている。当榊原外科教室でも今日迄に250名の心臟手術例に遭遇している。
心臟疾患といつても種類多く,したがつて手術手技も現在尚色々と工夫されているのであるが,こゝでは一般にひろく行われている手術についてのべてみたいと思う。
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