発行日 1953年4月15日
Published Date 1953/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907277
- 有料閲覧
- 文献概要
小兒の完全看護の理想は母親や附添が無くとも疾病の治療看護の點で完壁でなければならぬ事は勿論であるが,躾の點でも中流以上の家庭で教養ある母親が,子供を精根こめて育てあげるにも劣らぬ程に良く育てられるべきで,小児科の看護婦は,子供の母と師の役割をも果さねばならぬと思つている。
我々の病棟から退院した子供が,病棟に居た頃よりも血色が悪くなり,皮膚には濕疹が出來て薄汚く,疳が高くなつて居るのを見ると其の母親を輕蔑したくなるのであるが,逆に,もし退院して來た子供が下品な言葉使いとなり,だらしがなくなり悪い習慣がつき,流行歌を口ずさむのを見た場合,教養ある母親はどの様に殘念に思い,例え病氣が治つて居ても,その病院え入院させた事を後悔する事がないであろうか?そしてその様な場合,怒りのはけ口を婦長や,受持ちの看護婦へ持つて行く事がないであろうか?
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.