Japanese
English
特集 小児の皮膚泌尿器科疾患
小児に於ける角化症
KERATOSIS IN CHILDREN.
藤浪 得二
1
Tokuji Fujinami
1
1大阪大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology,School of Medicine, Osaka University.
pp.1211-1218
発行日 1957年12月16日
Published Date 1957/12/16
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202138
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角化症なる言葉は種々の意味に解釈され使用されてきたが,ドイツ学派Moncorpsによれば"角化機転の異常により角質が蓄積増加するような結果を招く事が病的過程の特徴である総ての皮膚疾患"を指している。一方フランス学派のDarierは此とはやゝ相違して,臨床的並に組織学的に表皮角層の中程度の肥厚を現わす皮膚疾患をKé-ratoseと呼び,角層の著しい増殖あるものにはhyperkeratoseなる名を,又その極めて軽微なるものにはKerosisなる名を与えている。角層の肥厚の程度に応ずる分類であろうが,各々の間に明確な境界を設けることは勿論不可能である。
さて,ドイツ学派にならつて一般に角化症と呼ばれる一群の皮膚疾患をみるのに,角化が皮膚に於て瀰漫性にくるもの,斑状に限局性にくるもの,毛孔に限局するもの,播種性を示すもの,線状列序性に排列するもの,(従つて母斑を想起せしめる)があり,又,皮膚の退行性変性に発するもの,鶏眼や胼胝腫等の如く外来の機械的刺戟が主因と思惟される例より遺伝因子等先天性素因によることの明白なものがある。それぞれ原因に応じて症状の発する年齢も相違するが遺伝乃至先天性異常によるものは症状の初発が幼若の年齢の方に傾くことは母斑の場合と同様である。
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