発行日 1951年9月15日
Published Date 1951/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906919
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膿重は發育,榮養,體質等の指標として,身長と共に,古來多くの學者から重ぜられて來た測度であるが,その定義はと改まつて尋ねてみると,その道の專門の書物に明確に記載してあるものは見當らない。しかし計測の方法には,裸體の重量を求める事を要求して居り,計測の時刻は食後2時間位とし,その間の飲食を禁じ,測定前に大小便を排出させるよう注意して居るものがある所をみると,我々の身體を構成して居る物質の總重量を體重と考えて居るものと思われる。科學的に考察する人ならば被服を着用したまま測つた重さと,裸體のときの重さとをそのまま比較するような事はないと思う,しかし消化管と膀胱の内容は無視されて居る場合が多い。實際被服の場合は誰の目にもつく物で而も計測に當つて簡單に除き得るもので明らかに我々の身體を構成して居ない物であるから,裸體の體重と言う事は當然であるが,消化管や膀胱の内容となると,膀胱は兎も角消化管の内容を零にする事も出來ないし,測る人の目には分らない物であるから無理もない事とは思う。所謂體重の日差なるものは主として飲食物の量と排出物の量とによつて生ずるものである事は明らかであつて,議論の餘地はないが,このような所謂體重の變動の中に,體構成物質の變動が隱されて居るのであるから,眞の體重の消長を明かにする事は非常に困難な事になる。
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