発行日 1947年8月15日
Published Date 1947/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906221
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○○○江 年齢35歳既婚女子
患者は幼時より結婚するまでに特別な病氣に罹つた事はない。昭和19年7月お産をして安産であつたが,其後背下部,背柱の右又左に疼痛あり,その秋よりは腰痛があつたが,熱がなかつたので氣になりつゝも家庭の雜用に追はれ醫師にもかゝらず放置しておいた。昭和20年に入つてから時々發熱(39度位)があつたが空襲で千葉の田舍に疎開し,度々疼痛はあつたが醫師に遠いため,そのまゝ放置してゐた。同年2月23日上京し當院にて受診,第四腰椎カリエス,右鼠蹊部寒性膿瘍と診斷さる。しかしやはり家庭でビタミン劑を服用したり,注射したりして痛い時は床をとつて休んだり,それ程でなければ仕事をしてゐた。昭和21年春頃より右大腿部後面に膿瘍が出來,6月頃に膿瘍が破れ瘻孔が出來,排膿があり,外科醫師の來診を求め治療をうけてゐた。訪問してからわかつた事であるが,10月頃より1日2囘水樣便あり痩せて來た。左胸部に疼痛あり,咳嗽と中等度の盜汗もあつた。しかし熱感はなかつた。
經過が非常に長いため今迄は醫師の指示をうけ自宅で傷の處置をしてゐた。昭和22年1月9日外科よりの依頼にて訪問看護指導をする事になつたので,大體以上の豫備知識をもつて訪問した。
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