連載 ケアのための病態生理学・6
消化器6 肝胆膵①肝臓
竹中 文良
1
1日本赤十字看護大学
pp.548-554
発行日 1998年6月1日
Published Date 1998/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905609
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ほんの二十数年前まで,肝臓,胆嚢,膵臓疾患の診断技術はまだ未熟で,医師の長い臨床経験と勘をたよりに手探りで診断を下すしかなかった.特に肝臓病に特有の黄疸の患者を診療した時でさえ,肝細胞性のものか,外科手術を要する閉塞性のものかの単純な判断でも難しく,時には試験的に開腹手術で確認することが行なわれた.その当時から,診断の難しいこの3つの臓器をまとめて肝胆膵と呼んでいる.
この分野の閉塞状況に風穴をあけるきっかけを作ったのが日本の医学界で,千葉大学で開発された経皮的胆管造影法であった.これは,皮膚面から拡張した肝内胆管に直接針を刺し,胆管に造影剤を注入し撮影する診断方法(PTC;percutaneous transhepatic cholangiography)で,胆管の閉塞部位および原因が的確に診断された.
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