特集 脳死・臓器移植が問うもの
医療倫理の歴史的変遷と死の定義
市野川 容孝
1
1明治学院大学社会学部
pp.936-940
発行日 1997年10月1日
Published Date 1997/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905443
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医療という領域に限らず,およそ倫理というものは何らかの形で“経験”に根ざしていなければならないと思う.倫理とは,日々の生活や活動の中でさまざまな困難に直面しつつ,しかし,人びとがそこから紡ぎ出していくべきものであって,決してその外部から与えられたり,押しつけられたりするものではないだろう.だから,臨床に立つ資格のない,ただの社会学者である私が,この問題について語りうることもおそらく非常に限られている.しかし,あるべき医療の姿について考えていく際の手がかりとなる,いくつかの歴史的事実を,読者の皆さんとともに確認していくことはできると思う.
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