特別記事
各種褥瘡予防マットの除圧・体圧分散効果の研究(2)—ギャッチの角度別による比較検討
田中 マキ子
1
,
森山 美知子
1
,
岩本 晋
1
,
山村 尚美
2
,
栗田 富佐江
2
,
宮本 由美子
2
,
杉山 朋子
2
,
井上 孝子
2
,
伊藤 慶子
2
1山口県立大学看護学部
2済生会山口総合病院看護部
pp.347-353
発行日 1997年4月1日
Published Date 1997/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905318
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はじめに
我々は,第1報1)において,褥瘡予防マットによる体圧分散と除圧効果の比較を行ない,厚型マットの有効性を指摘した.本報では,さらにベッドギャッチアップにより,体圧の変化がどのように起こるかを検討することとした.ベッドギャッチアップと褥瘡の関係について美濃は2),ベッドを30°以上ギャッチアップすると体は足の方向にずり落ち,このときに生じる摩擦やズレにより褥瘡が発生しやすくなると述べている.摩擦は皮膚が布団やマットに擦れて傷つきやすくし,ズレは筋肉から皮膚に向かっている血管を引き伸ばし,血管を細くし皮膚の虚血状態を起こす.この現象が,ギャッチアップの際に起こり,挙上によりズレた体を引き上げるという動作を頻回に行なうことで,褥瘡が形成されやすくなると真田も指摘している3).
このようにギャッチアップと褥瘡形成の関係は指摘されているが,ベッドギャッチアップと体圧変化の実際や,褥瘡予防マットとベッドギャッチアップとの関係を明らかにした研究は見られない.そこで,われわれは,褥瘡予防マットとベッドギャッチァップとの関係を臨床で頻回に行なう角度から評価し,有効な結果を得ることができたのでここに報告する.
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