連載 でも、やっぱり歩きたい[直子の車椅子奮戦記]・32
退院おめでとう
滝野澤 直子
pp.776-779
発行日 1994年8月1日
Published Date 1994/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904621
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憂うつな回診
部長先生が嫌いなわけじゃないけれど,私は回診のたびに憂うつになった.だって,なにかというと 「そろそろ退院後のことを考えて……」とくるんだもん.私はまだまだ退院なんかしたくないのに…….
部長先生は『退院』という名の印ろうをかざして歩く.患者さんたち一人ひとりに今後の人生を前向きに考えてもらいたい,というメッセージなのでしょうが……,ホントに先生,わかってるのかなあ.退院なんてちっともおめでたくないんだよ.元気な身体に戻って退院するんじゃない.障害者としての人生が始まってしまうんだもの.
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