特集 患者の自立に向けて—さまざまな看護現場で
精神科看護領域におけるセルフケア
宇佐美 しおり
1
,
粕田 孝行
2
1聖路加看護大学博士課程
2長谷川病院看護部
pp.704-708
発行日 1993年8月1日
Published Date 1993/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904327
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はじめに
社会における高齢化,高血圧・糖尿病・腎疾患などの慢性疾患の増加は,保険医療に“Quality of Life(以後QOLと呼ぶ)”という概念をもたらすようになった.病者の日常生活の質を重視するこの考え方は,わが国では,1970年代より経済社会の分野で積極的にとりいれられるようになってきている1).QOLという考え方の中には「自分の生活を自分でコントロールし,自分の生活に関する満足度を高めていく」という内容が含まれ,自己コントロール,生活満足度,セルフケアという概念が含まれ,これらの概念もQOLと同じく注目されるようになってきている.
看護の領域で,セルフケアという概念を最初に提唱したのは,ドロシー・オレムであり,1971年に看護の一般理論としてのセルフケア理論を発表した.
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