特集 危険な画像所見—ぬかりはないか? ②−循環器・頭頸部編
【循環器2】大動脈解離
那須 和広
1
,
吉岡 邦浩
2
,
川村 隆枝
3
1岩手医科大学付属循環器医療センター内科
2岩手医科大学付属循環器医療センター放射線科
3岩手医科大学付属循環器医療センター麻酔科
pp.709-713
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904014
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疾患の概要
大動脈解離は,大動脈内膜に裂孔を生じ,大動脈圧により大動脈壁内に出血をきたし,中膜の解離を伴う疾患である.突然の背部痛,胸痛で発症し,時に急激な経過をたどる.至適治療が行なわれない場合その予後は致命的で,24時間以内に25%,1週間以内に50%以上,1か月で75%以上,1年以内に90%以上が死亡するとされている1).その救命および予後の改善のためには,迅速かつ正確な診断とそれに基づいた治療が必要である.
大動脈解離は,進展範囲およびentryの存在部位などによりDe Bakey分類およびStanford分類に基づいて分類される(図1).これらの分類は治療方針を決定する上で非常に重要である.具体的には,上行大動脈に解離が存在するDe-Bakey Ⅰ,Ⅱ型やStanford A型は破裂,心タンポナーデなどの合併症の危険が高く,早期の手術の適応となる.De Bakey Ⅲ型,Stanford B型は基本的に内科的治療が選択されるが,分枝虚血などの合併症により外科的治療が必要になる例もある.
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