特集 危険な画像所見—ぬかりはないか? ②−循環器・頭頸部編
【循環器1】大動脈瘤
西上 和宏
1
1国立循環器病センター心臓血管内科
pp.702-708
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904013
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疾患の概要
大動脈瘤は「大動脈壁の全周または一部が生理的限界を超えて拡張した状態」とされる.大動脈瘤は存在部位により,胸部大動脈瘤(TAA: Thoracic aortic aneurysm),腹部大動脈瘤(AAA:Abdominal aortic aneurysm),胸腹部(横隔膜付近)大動脈瘤(TAAA: Thoracic aortic aneurysm)に分けられる.形態的には,瘤壁が全層血管壁からなる真性瘤(True aneurysm)がほとんどだが,時に一部破裂して周囲の結合織と血腫から形成される仮性瘤(Pseudoaneurysm)もまれにみられる(図1).また,形状では,全周性に拡大した紡錘状瘤(Fujiform aneurysm)と限局性に突出した嚢状瘤(Saccular aneurysm)に分けられる(図1).病因として,多くは動脈硬化性であるが,先天性要因による中膜壊死,感染症によるもの,炎症性のもの,外傷によるものなどがある.
ほとんどが無症状であり,画像診断により偶然発見されることが多い.周囲の組織を傷害して,胸部大動脈瘤では嗄声,腹部大動脈瘤では血尿などがみられることがある.痛みは比較的少なく,逆に痛みがあれば切迫破裂が疑われる.
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