JJN Essay
虐待事例にとまどう若い貴女へ—体当たりと模索の日々を振りかえって
前川 マキコ
1
1大阪市環境保健局病院経営部大阪市総合医療センター
pp.1156-1160
発行日 2000年12月1日
Published Date 2000/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903634
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はじめに
私は現在,40年間慣れ親しんだ看護の現場を離れ,行政で仕事をしている.臨床を離れて久しいが,新聞報道などで「虐待」の二文字を見るたびに目を奪われ,心を痛めずにはいられない.
以下の小論は,筆者がまだ小児科医療の現場にいるころに体験した,被虐待児とその両親の援助事例である.あれから20数年が経過した今となっては梓話の感を持たれるかもしれないが,今日ほど虐待が社会的な関心を集めておらず,政策や情報もなかった(虐待自体がなかったわけでは決してない)当時,一婦長の立場で被害児の保護を申し出,院内外の各所,とりわけ児童相談所との連携のもとに援助を実行し,結果として親子の新たな関係構築までもっていくことのできた事例を紹介したい.
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