特集 看護介入技法としての代替・補完療法
看護治療の視点と技法—看護は何を,どこまでできるのか?
内布 敦子
1
1兵庫県立看護大学
pp.594-597
発行日 2000年7月1日
Published Date 2000/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903499
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看護の治療的はたらき
私たちは,伝統的に酸素吸入や注射やベッドメイキングなど,医師が行なう治療との関係で患者の健康のために貢献できる技術を教育されてきた.これらの伝統的看護技術については看護の視点で治療的な意味を追求されないまま今日に至っている.また現場の看護婦たちによって実際に提供されているケアをよく観察すると,伝統的な看護技術のほかに患者の治癒に大きく貢献しているものが随所に見受けられる.これらの技術はいまだ系統だったものとして書物になったり,次世代の看護婦に教育されたりするには至っていないが,現場では確実に提供されているものである.
看護ケアの質の評価基準に関する研究班(代表:片田範子)は,現場の看護婦の行為を参加観察することによって,患者に接近する技術,患者の内なる力を強める技術,直接ケア技術,家族の絆を強める技術,場をつくる技術,といった看護の治療的要素を多く含む技術を見いだしている1).このほかにも上泉氏によって集中治療室で看護婦が行なうケアが2),萱間氏によって精神分裂病急性期患者に対して行なう看護婦のケアが明らかにされ3),治療的看護のありようが研究されている.
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