フロントライン2000 研究
腕の太さとマンシェット幅の関係で生じる血圧値の誤差についての一考察—2つの相反する考えを検証する
佐藤 香織
1
,
深町 純子
1
,
寺本 鈴香
1
,
多田 操
1
,
平田 雅子
2
1兵庫県立成人病センター
2神戸市立看護大学短期大学部
pp.134-137
発行日 2000年2月1日
Published Date 2000/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903402
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はじめに
より正確に患者の状態を把握するために
血圧測定値は,患者の循環動態の重要な判断基準である.しかし看護婦にとって,血圧測定は日常頻回に行なわれている業務であるため,意外に測定行為自体を軽視しがちである.
田中は「(筆者注:血圧測定では)不適切なマンシェットを用いたり,部位が不適切なときに誤った値となる…(中略)…マンシェットの幅は,選んだ四肢の部位の太さ(周り)によって決める.幅が広いほど,圧は低く測定偏差値は少なく,幅が狭いほど圧は高く偏差値は大きくなる.適切な幅を用いた場合,中の圧は均等に動脈に加わり,血流を遮断し,圧は有効に伝わる,しかし,幅が狭すぎると圧が加えられる面積が少なく,動脈に加えられる圧は中の圧より小さくなり,同じ血流を遮断するにはより多くの圧が必要になり,測定値が高く表示される.幅が広すぎる場合はその逆である.したがって,マンシェットの内袋幅は四肢の中央の円周の2/5(40%)が適当1)である」と述べている.しかし,「幅が上腕の太さに比べて広すぎると,上腕動脈を扁平にして血流をとめるためには,マンシェットの圧を十分高くしなければならない.したがって,測定値を実際の血圧よりも高く測定する」2)と述べている文献もある.このように相反する2つの考えがあるため,どちらが正しいか検証する必要があると考えた.
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