連載 あした天気にしてあげたい[わたしの救急奮闘記]・5
熱く渇いた日ざし
中村 恵子
1
1杏林大学医学部付属病院看護部
pp.756-757
発行日 1991年8月1日
Published Date 1991/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900449
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涼風を帽子に受けて
日常生活の中で,私たちは寒い時には服を1枚よけいに着たり,部屋の温度を上げるようにするし,暖かい時には,逆に半袖や薄手の洋服にしたり,窓を開けはなすなど,あまり苦にせずに環境を調節している.こうして,体温を一定に保つように工夫しているのだが,体温は産生される熱量と放散される熱量のバランスにより保たれている.しかしながら,高温,高熱により体温調節機構が障害され,このバランスが崩れることがある.こうして発症するのが熱中症である.
“熱中症”という言葉はあまり聞き慣れないかもしれないが,日射病や熱射病という言葉なら知っている人は多いはず.子どもの頃に,親や学校の先生から,炎天下に出る時には帽子をかぶりなさい,疲れたら日陰で休みなさい,暑い日には部屋を閉め切らずに,風を入れて遊びなさい,などと言われたことを思い出すのではないだろうか.
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