やさしい目で きびしい目で・90
熱く思うこと (3)炎症
島川 眞知子
1
1東京女子医科大学
pp.1097
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101817
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大学でぶどう膜外来をしていると,Behçet病をはじめとするぶどう膜炎では,なぜ繰り返しこんなに強い炎症が起こってしまうのだろうかと,炎症細胞を憎々しく思う。炎症という厄介者のお蔭で,眼球内の透明性が保持できなくなってしまうのは,ほんとうに困りものである。
一方,私が国立国際医療センターにいたときは,エイズの患者さん達をたくさん診察させていただき,多くの眼日和見感染症例を経験した。頻度の高いサイトメガロウイルス網膜炎を筆頭に,脈絡膜結核腫,梅毒性視神経炎,トキソプラズマ症,ニューモシスチス・カリニ脈絡膜症,等々である。CD4リンパ球数が低下してこれらの日和見感染が起きていないかどうか定期的にチェックするのは眼科医の重要な仕事である。なぜなら,ふつうなら外敵に対して生体防御せんと炎症が生じ,眼は痛いし,赤いし,前房や硝子体が混濁して霧視や視力低下を自覚し,速やかに自ら眼科を受診され,異常が生じていることが判明する。
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