特集 婦人科がん患者のケア
がん患者のメンタルケア
坂田 三允
1
1群馬県立精神医療センター看護部
pp.974-978
発行日 2001年11月25日
Published Date 2001/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902761
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はじめに
がんは,最近の医療や科学技術の進歩によって,かつてのように恐れられる病気ではなくなってきたといわれる。発見さえ早ければ,命に別状がないばかりでなく,侵襲性の少ない治療法も多数開発されてきている。しかし,長期にわたってわが国における死因の第1位を占めていることに変わりはなく,転移や再発に関しては,今なお未解決のまま残されている課題である。治療に伴う身体機能の喪失や強い副作用も依然として深刻な問題であることに変わりはない。
医療者の立場からみれば,「説明」と「同意」,患者の立場では「知る権利」と「自己決定権」から成り立っ「インフォームド・コンセント」概念の普及によって,かつては本人に知らせないことが普通であった「がんの告知」の問題は,その対象が小児や一部の精神疾患患者のように同意能力を持っているとは判断されない人々を別にして,患者自身に伝える医師が増加してきている。当然そのときには,治療法やその後の経過についても説明が行なわれる。患者が自ら選択,決断して,治療を受けることができるようになってきたのである。
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