特集 タッチケア(上)
NICUでのタッチケア,ホールディング—聖マリァ病院母子総合医療センターの場合
吉永 陽一郎
1
,
庄山 紀子
1
1聖マリア病院母子総合医療センター新生児科・育児療養科
pp.106-110
発行日 2001年2月25日
Published Date 2001/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902580
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母親と子どもとの間に愛着が形成され,また児の発育発達が促されるために,視覚接触や身体的接触などの相互作用が大きな役割を果たしているらしいことは古くから言われてきた。しかし新生児センターへの入院を必要としたハイリスク児の場合,母子分離することになり,接する時間も限られ,ましてや身体的接触を維持することは困難である。
近年,わが国の多くの新生児センターでは,時間制限のない面会やビデオ面会,また臨床心理士がセンター内に入っての家族へのアプローチなど,児との接触の機会を増やし,その場での母子関係形成を支援する試みがなされている。入院中の児を抱いて面会するカンガルーケアや,タッチケアなどの早期介入は,睡眠リズムの安定や全身状態の好転,体重増加などの児に対する効果も報告されているが1),わが国では,むしろ児との接触の喜び,児のために自分にもできることがあるという満足感,母性の誘発など,家族に対する効果という意味で歓迎されており,母子関係の形成支援の延長上にあると考えてよい。
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