今月のニュース診断
母体保護法と女性の自己決定—人工妊娠中絶の現代的意味を考える
斎藤 有紀子
1
1明治大学法学部 法哲学・生命倫理
pp.276-277
発行日 2000年4月25日
Published Date 2000/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902379
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日母の公聴会
昨年秋,日本母性保護産婦人科医会(以下,日母)は,母体保護法改正案に関する公聴会を開催した(共同1999年11月19日)。これは昨年7月に日母が公表した「女性の権利を配慮した母体保護法改正の問題点(多胎減数手術を含む)」に基づく意見聴取である。
日母改訂案のポイントは,①女性の権利に基づく任意の人工妊娠中絶(以下,中絶)が認められる期間を妊娠12週未満とし,それ以降の中絶を適応条項とする。②妊娠12週未満の中絶は本人の同意のみで足り,それ以降も,(配偶者の同意を必要とするものの)本人の意思を優先する。③経済的理由を身体的理由の項目から切り離し,「社会的理由」として独立させた上で,さらに身体的理由の項目に精神的理由を追加する。④中絶の定義を変更し,母体保護法のもとで多胎減数手術を可能にする。⑤多胎減数手術の適応を中絶の適応と一致させる(但し,実施期間を12週未満に限り,減数も双胎までに留めたいと附記した)等である。
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