特別寄稿
栃木県の妊婦の出産に対するニーズ:分娩方法・体位・処置
早川 有子
1
,
竹中 美
2
,
大谷 美和子
2
,
内藤 和子
3
,
大井 けい子
2
,
坂野 ゆき子
4
1自治医科大学看護短期大学
2自治医科大学看護短期大学専攻科
3福島県立医科大学看護学部
4前:自治医科大学看護短期大学
pp.72-77
発行日 2000年1月25日
Published Date 2000/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902332
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本報告は,満足のいく主体的出産を援助することを目的に,栃木県内で出産予定の妊娠28週以降の妊婦2,006名を対象に出産に対するニーズの調査を行ない,対象のニーズを満たすために医療関係者がどのように対応したらよいかを検討することを言的にまとめたものである。
調査方法は,県内出産施設の施設長および看護部長に調査の趣旨を説明し,了解を得られた24施設にアンケート用紙を配布(留め置き法),回収した。以下は結果である。
1.分娩方法はなるべくなにもしない自然な分娩(89.6%)を望み,経産婦が初産婦よりも有意(p<0.01)に自然分娩を望んでいた。
2.分娩体位は希望のない妊婦が多数(83.2%)を占め,経産婦が初産婦よりも有意(p<0.01)に分娩体位の希望を持っていた。
3.分娩時の処置は現状(83.2%)を肯定し,項目では,「分娩監視装置の装着」「内診」「浣腸」「剃毛」が肯定され,「会陰切開」はどちらともいえない,「分娩促進」はやや否定的であった。初・経産婦別では,「分娩監視装置の装着」「内診」は初産婦が有意に肯定し,「会陰切開」は経産婦が肯定していた。
これらの結果から,妊婦が主体的な出産を行なっているとは言えないこと,また初・経産婦別では初産婦のほうが分娩方法・体位に対する希望が少ないことが明らかになった。
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