特集 証拠にもとづく助産ケア
無作為対照試験—Randomised Controlled Trials:RCT
ジェニファー・スリープ
1
,
戸田 律子
2
Jennifer Sleep
1
1テムズバリー大学ウォルフソン健康科学部
2日本出産教育協会
1Nursing and Midwifery Research The Wolfson School of Health Sciences,Themes Valley University
pp.293-297
発行日 1998年4月25日
Published Date 1998/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901912
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「なにが一番いいのかしら?」という疑問が頭をかすめたことはありませんか。例えば,どの治療法がいいのか,どんな助言をお母さんに与えたらよいのか,と診療現場で迷うといった。かと思えば,ケアをする上で,例えば助産婦のチームを組んだほうが,従来の診療方法より効果的かなど。こうした疑問に答える方法は何通りもあります。
例えば,やってみてその効果を観察し,結果を描写することができます。こうして得られた証拠を解釈する問題として,他の方法を使った場合に出てくる結果との比較ができません。残念ながら,いろいろな製造業者が新製品を出すときには,こうしたやり方でその製品を売り込みます。誤解を招きかねないばかりでなく,危険でさえある証拠です。チャルマーズ(1986)は,こうした傾向に警鐘を鳴らしました。「まだ未踏の治療法へと歩み出すとき,個々の患者を救いたいあまりに,その目的の価値で判断してしまうことがあり,その場合に効果がないばかりか,害さえもたらしかねない専門家のケアを受けてしまうこともあるという教訓が生かされていないことがある」。こうした「価値ある目的」のために試験を経ないで女性や赤ちゃんのケアに使われてしまうものとして,オルターニティブな療法として知られるアロマテラピーやホメオパシーなどがあります。良い効果のあるものは,潜在的に悪い効果もあるということは,心に留めておくべきでしょう。別なやり方を比較する最も効果的な方法としては,対照試験があります。
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