特集 性暴力被害と向き合う
性暴力の被害者へのケア—アメリカにおける看護婦・助産婦のかかわり方
押尾 祥子
1
1ワシントン大学看護学部
pp.627-632
発行日 1995年8月25日
Published Date 1995/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901295
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はじめに
私が性暴力と産科看護の関係に気づき始めたのは5年ほど前だったと思う。私の働いていたシアトル(米国ワシントン州)の産科病棟で,異常に注射針をこわがる妊婦がいた。同僚の看護婦にその話をしたところ,「きっと幼少時に性暴力の被害者だったのよ」という。私にはその関係がわからなかったので聞き返すと,シアトルの理学療法士で妊婦教室とお産のサポートを専門としているペニー・シムキン(本誌48巻12号44頁参照)という人が,性暴力の被害者がお産のときに示す態度や行動について研究しているとのことだった。何年かたってからシムキンの講演を聞く機会があり,ようやくその同僚のコメントの意味がわかった。
この稿の第1節では,できるだけわかりやすく性暴力とお産とのかかわりについて説明したい。
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