特別寄稿
新しい家庭に迎えられる赤ちゃんたち—「環の会」の活動紹介
横田 和子
1
,
星野 寛美
1,2
1第2種社会福祉事業(東京都)環の会
2関東労災病院産婦人科
pp.511-516
発行日 1995年6月25日
Published Date 1995/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901269
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「産み捨て」「帰る家庭のあてのない子ども」を減らすために
産科関係者がある程度の分娩数を扱うようになると必ずめぐり会うのが,「産み捨て」ではないだろうか。「あっ,あの人はどうも何か事情がありそうだ,注意しなければ……」と思いつつ,ちょっと目を離した隙に赤ちゃんを置いたまま無断退院する,といったケースが,現在の日本国内にも相当数にのぼる。
そのような子どものほとんどが,児童相談所の手に委ねられ,乳児院に入れられている。いったん乳児院に入ってしまうと,どんなに家族が引き取る見込みがないとしても,「障害の有無を確認するため」という理由で2歳までは養子に出されず,施設で過ごすことになってしまう。さらに,3歳を過ぎても「産みの親の意思の確認が取れないから」という理由で,乳児院から養護施設へ移されるようなケースも多い。ところが,医療スタッフのほとんどは,「産み捨て」にされた赤ちゃんの「行く末」がどうなったかを確認せぬままに,日々の業務に追われているのが現状である。
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