特集 産科診療所の新しい風
「悪いお産」と言われないために—ナチュラルバース,ナチュラルナーシング/愛する赤ちゃんを抱くのに制約はいらない
粟野 利春
1
1あわのクリニック
pp.366-372
発行日 1993年5月25日
Published Date 1993/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900796
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はじめに
リプロダクション(個体の複製)の能力はすべての生命体に備わる。ヒトでもそれは例外でなく,妊娠,出産,授乳,育児の能力はすべての妊産婦にすでに備わっているはずである。妊産婦のその能力によって,自然に分娩し,母乳で子を育て,そして母子の強い絆を形成することができる産科施設を目標に,私が現在の診療所を開設してから,そろそろ10年が経過する。その間に経験した分娩,産褥,授乳期の種々の問題に対しての,当院の解決策や試みをここに紹介する。「いきまないお産」「会陰に触れない分娩介助」「母子同室と添い寝」「乳房に触れすぎない乳房管理」等がその試みである。
なお,あわのクリニック(写真1)は黒部川扇状地の田園地帯の中心部に位置し,年間分娩数が500〜550件である。看護スタッフは19名,そのうち助産婦3名,乳房外来専任(桶谷式乳房管理)助産婦3名である。
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