特別企画 第2回国際ホームバース会議報告
ゲストスピーカーの講演
助産婦とホームバース—私たちが受けついだものは何か,私たちの将来はどうなるか
尾田 葉子
,
ニッキー・リープ
pp.197-203
発行日 1993年3月25日
Published Date 1993/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900759
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先輩助産婦は宝の箱ではなかった
私は友人の助産婦ビリー・ハンターと,数年前から,イギリスの助産婦活動に引きつがれてきた遺産を記録編纂する仕事をしてきました。この資料は,『助産婦物語──ハンディ・ウーマンから専門職助産婦まで:聞き書き助産史』として1993年春にスカーレット・プレス社から刊行されることになっています。この研究を進めていくうちに,ビリーと私は,私たちが遺産として取り戻そうとしているものについて幻滅を感じ,それを守っていくことの価値に疑問をもつようになったのです。
引退した助産婦と20世紀前半にお産をした人たちのインタビューに私たちが取りかかった頃には,ビリーも私もロマンティックな期待を抱いていました。それは忘れ去られた助産の技術がつまった宝の箱を開けようとしているような気持ちでした。彼らが語る言葉を多くの助産婦に広めようと意気込んでいました。しかしその内容を聞き出していくうちに,私たちは,これから未来を築いていくためには,そこに受けつがれてきたものの大部分を,守るのではなくて放棄しなければならないことを知ったのです。
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