特集 肋産婦と国際協力
東大大学院に「国際保健学専攻」がスタート
大井 玄
1
1東京大学医学系研究科国際保健学専攻
pp.1034-1038
発行日 1992年12月25日
Published Date 1992/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900709
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
地球が小さくなったという事実は,地球がまだ大きいと感ぜられていた時代に外国へ出かけた人でなければ,実感するのはむずかしいかもしれない。
わたしたちの父親たちのように,数十日かけてヨーロッパまでたどりついたという話はもうピンとこないだろう。しかしわたしが1965年に初めてアメリカに渡った時は,途中中継地で給油しなければ,太平洋をこえることができなかった。もちろんその頃最新鋭といわれたジェット機を使ってである。未経験なわたしにとって,地球はまだ大きく思えた。ところが今ではどうだろう。十数時間あれば,地球の反対側にあるロンドン,パリに着いてしまう。タイのバンコックだって,6,7時間の距離ではないか。むかし山田長政という英雄が万里の波濤を乗りこえていってタイの王様に重用されたなどという話が夢みたいだ。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.