特集 胎児と一体の出産をめざすリーブ法
分娩時のリーブ法
清水 敬子
1
1東京警察病院産婦人科病棟
pp.818-824
発行日 1992年10月25日
Published Date 1992/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900663
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はじめに
分娩は,陣痛とともに始まり胎盤の娩出で終了します。これはメカニズムとしてあたり前のことであり,そういうものだとかたづける人々にとって,我々の意志や胎児の思いなど介在する余地はなさそうです。
ですが,ここで胎児の思いを尊重する視点から胎児の動きを追ってみましょう。胎児はあごを引き(第一回旋),肩を丸めてなるべく小さく出やすい体勢をとり,骨盤の広いところを探して回りながら(第二回旋)降りてきます。数時間に及び,しだいに強くなる陣痛の波の中で,新生児と変わらぬ知能と学習能力を持った胎児は,しっかりとその対処法を身につけていきます。陣痛の間歇時には体を丸めて全身の力を抜いてリラックスしていますが,発作が来ると,体軸が子宮に対してまっすぐになるように身構えて体を固くし,陣痛の力が正中から子宮口に向けてストレートに加わって,分娩が早く進むように協力してくれます。お産はけっして産婦の力だけでやっているのではないことがわかります。
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