特集 胎児と一体の出産をめざすリーブ法
リーブ法によるボンディングの形成
鮫島 浩二
1
1東京警察病院産婦人科
pp.825-831
発行日 1992年10月25日
Published Date 1992/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900664
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胎教とボンディング
胎児研究の発達とともに「胎教」という言葉がよく使われるようになりました。しかしながら商業主義にのせられてもてはやされてきたこの言葉には,しばしば「胎児を教育する」というニュアンスが感じとられます。「なるべく頭のいい子がほしい」という母親たちの願望に乗じて,胎児に英語や数式を教えたりという,かなり極端なものが妊婦さんたちの心を騒がしているようです。
「妊娠中に,妊婦が精神的安定と修養につとめ,胎児によい感化を与えようとする」胎教の本来の意図するところは,妊娠中から母と子のきずなを強めることではないでしょうか。リーブ法の究極の目的は,静かにお産することでも経腟分娩することでもなく,ましてや頭のいい子を産むことでもありません。妊娠・出産という人生にとって大きなイベントを通して家族のきずながさらに強くなれば,単に赤ちゃんが生まれたという事実以上に,目に見えない部分で得るものが多くあるに違いありません。
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