連載 産科免疫学十二話・3
習慣流産の原因としての免疫学的不育症—夫リンパ球の輸血療法の効果
梅咲 直彦
1
1大阪市立大学医学部産婦人科学教室
pp.520-523
発行日 1992年6月25日
Published Date 1992/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900595
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はじめに
前回,同種移植片である胎児が拒絶されずに分娩まで子宮の中で生存し続ける仕組みとして,種々の免疫抑制因子の重要な働きについて説明しました。そしてその破綻が流産となることも述べてきました。
しかし,実際はそのような流産を臨床的に示すことは非常に困難です。現在のところ流産の多くは染色体異常によるものと考えられています。この染色体異常は遺伝的なものではなく,突然変異によるものです。しかし,3回以上連続して流産をおこす習慣流産では,染色体異常による流産の頻度は低下し10%以下となります。そしてこれは夫婦のどちらかに染色体異常がありそれが遺伝的に児に伝わり,その結果流産となるタイプです1)。
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