Medical Scope
β・ラクタム剤
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.947
発行日 1991年10月25日
Published Date 1991/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900440
- 有料閲覧
- 文献概要
私たちが日常行なっている産科周産期医療では,大変に多くの薬剤を使用しています。しかし,どの薬剤が現在ではもっとも多量に使われているか,皆さんは考えたことがありますか? なんと,それは抗生物質なのです。ペニシリンの発見によって,もうその使用は常識化した,抗生物質による細菌感染症の治療や予防は,私たちの産科周産期医療から産褥熱という死亡率の高かった合併症をほとんど消し去りました。
しかし,今日では昔のような細菌感染症とは別に,切迫早産や前期破水(PROM:premature rupture of the membranes)例の管理をはじめとして,術後管理や分娩後にも抗生物質は多く使われています。妊娠中に用いてよい抗生物質には,B群溶連菌やグラム陰性菌にも有効で,胎児移行,羊水移行性がよく,胎児や新生児に障害を与えない薬剤でなくてはならないという条件がつけられ,よくご存知のようにアンピシリン(ABペニシリン)がもっともよく使われています。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.