技術講座 微生物
感受性試験のための抗菌剤の基礎知識—[1]β-ラクタム剤
井上 松久
1
,
長曽部 紀子
1
,
島内 千恵子
1
,
井田 孝志
1
1北里大学医学部微生物学教室
pp.331-336
発行日 1994年4月1日
Published Date 1994/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901849
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はじめに
疫学的事実として,1980年前後を境にグラム陽性菌ではEnterococcus faecalisやStaphylococcus aureusの増加,methicillin-resistant S. aureus(MRSA),Streptococcus pneumoniaeではpenicillin G耐性菌の出現,グラム陰性菌ではProteus属の減少とPseudomonas aeruginosaやAcinetobacter calcoaceticusの増加,あるいはXantomonas maltophiliaの出現などの臨床分離細菌の菌種が変化してきている.これら臨床分離細菌の菌種の変動は,過去10年間に感染治療に使われたβ-ラクタム剤やキノロン剤などの薬剤と密接にかかわっていることは間違いなく,その結果,薬剤耐性菌の出現においても,かつてみられなかった新たな問題が生じてきている.これらの菌株に対するβ-ラクタム剤の感受性試験を行う際,注意すべき内容について述べてみたい.
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