特集 会陰保護術の科学的再考
会陰保護術の科学的実証を求めて
宮里 和子
1
,
中本 朋子
,
窪田 冨美子
,
中山 有理
1国立公衆衛生院公衆衛生看護学部
pp.906-911
発行日 1990年11月25日
Published Date 1990/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900200
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序論
本誌44巻第3号において,筆者は共同研究者の1人として,母乳を科学する──桶谷式乳房治療手技における効果の検討──について報告した。上記論文はサブタイトルが示すように,桶谷式乳房治療手技の効果について科学的に実証しようとした最初の試みである。桶谷式乳房治療手技の有効性の検証は,別な観点からみると,助産婦の独自の技術の確立を意味するものであった。
ここで改めて,技術とは何かについてみてみると,武谷三男の適用説では『技術とは人間実践(生産的実践)における客観的法則性の意識的適用である』と説明している1)。この技術概念によれば,「カン」とか「コツ」とかいわれる主観的法則性すなわち,徒弟が親方の仕事を手伝いその現場の「空気」を通して受け渡されるものが技能であり,これが言語化されたり,あるいは文字化されたり,図解によって他者に伝えられるようになると,技能の技術化が行なわれたということになる。私たち助産婦の,技能の技術化ということで言えば,先輩の「カン」「コツ」を分析し,客観的法則性を見いだし,意識して使うことから始まろう。実践することを通して助産婦の技能を技術に高め,妊産婦の安全と安楽を保証することが実践者としての助産婦の立場であろう。
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