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今,年金制度が危ない
牧 智子
pp.352-353
発行日 1989年5月25日
Published Date 1989/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207609
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年金改革法案,国会に提出される
総務庁統計局では毎年,貯蓄動向調査報告を発表する。この3月16日,昨年末現在の平均貯蓄残高の速報が各新聞に発表された。それによると,サラリーマン世帯の平均貯蓄残高は893万円。前年より9.0%も増加した。893万円というのは平均年収621万円の1.4倍に当たる。
しかし,当然ながら皆が金持ちな訳ではない。貯蓄がある世帯を金額別に分類したとき,いちばん多いのは貯蓄残高200万円前後の世帯。200万円は大金にはちがいないが,財テクブームだの何だのといわれている割には,平均というのはこんなものなのか,という気もする。政治家のパーティではナン千万というお金が動くというが,平均的サラリーマンの台所はこの程度。この程度のお金,家族のだれかが病気でもすれば右から左に出ていってしまうのではないか。家族が皆健康で怪我もせず,「お父さん」も失業しないという条件に恵まれている間は,大丈夫だろうが。
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