特集 少産時代の助産婦の進路
少産時代の母子保健
新堀 千恵子
1
1川崎市中原保健所
pp.282-286
発行日 1987年4月25日
Published Date 1987/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207106
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はじめに
いつの時代にあっても,人の世が続く限り,母子の健康問題も存在し続ける。そして母子保健は,母性の健康の保持・増進と次の世代を担う子供らの健康の基盤づくりを目的としている。このことからも分かるように,母子保健活動は,母性のライフステージに対応した生涯健康づくりの一環として,きわめて重要な位置を占めてきたし,将来ともその重要性が低下するということはありえない。
わが国の母子保健の諸指標は今や世界のトップクラスである。これに寄与した要因は医療・福祉・環境など様々な角度から挙げられようが,総括的にいえば,母子保健活動の充実によるところが大きい。その一方で,母子をとりまく環境は,都市化・核家族化,母性労働の多様化といった社会的要因を背景として,近年,大きな変貌を遂げている。そのような環境の変化のなかで,育児ノイローゼ,若年妊娠と人工妊娠中絶の増加といった社会的な問題が顕著になつている。従来の枠にとらわれない母子保健活動が求められる所以である。
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