特集 開業助産婦の現在
今,なぜ,地域で開業助産婦か
大谷 タカコ
1
1大谷助産院
pp.1050-1054
発行日 1986年12月25日
Published Date 1986/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207017
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助産婦としての願いを開業に託して
私の住む寝屋川市は,人口20数万の大阪市近郊の住宅地であります。昭和42年当地に開業しましたが,当時,急増する人口に田畑は埋め立てられて宅地化され,いわゆる文化住宅が建ち並び,市場が進出し,都市整備が追いつかないままにあっという間に20数万の街になりました。
人口の増加に対して,医療機関,特に産婦人科関係の施設が少なく,急激な出産数の増加に対応しかねていたような時期に開業しましたので,見知らぬ土地ではありましたが,順調に出産数を伸ばすことができました。もう,ほとんどが病院分娩になっていましたので,私のように新規に開業する助産婦は見られなくなっていました。このような時期にあえて開業を選んだのは,当時の病院が,はたして妊産婦さんにとって良いお産の場であるのだろうかという疑問があったからです。当時,いろいろな不満や批判の声も出て来つつあり,私自身,もっとゆったりとした,人間味のあるお産の場を作ってみたいということと,病院で助産婦としての働きがどれほど出来ているかという反省,つまり,助産婦として持てる知識・技術をフルに活用して働きたい,この願いをかなえてくれるのは開業しかないと,準備を重ねてやっと42年10月に開業にこぎつけたのです。
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