〈講演〉開業助産婦の現状

影のうすい印象はどこから

　開業助産婦の現状について話をするようにということでございますけれども，皆さんのように進んだ学問をお受けになった方たちの前で，私がしゃべるということは，何か私にとっては恥ずかしい思いです．昭和11年ごろ勉強した人間でございますので，だいぶ立ちおくれているわけです。その点どうぞよろしくお願いいたします．皆さんは病院でお働きになっていらっしゃるし，私は開業しているのですから，その立場において，少しは変わりはあるかもしれませんので，私が知っている範囲でお話し申し上げたいと思います．

　開業助産婦といいますと，何か影の薄いような印象をお受けになるんじゃないかと思うのです．今はそんなに仕事もないし，ブラブラ遊んでいるということがすぐ頭にくるんじゃないかと思います．しかしけっこう施設を持っているものは働かせていただいております．世間一般の人たちは，助産婦ということばを知らないんじゃないかと思うくらいで，私たちが指導にまいりましても，助産婦さんにこういう指導をされたとはどなたもおっしゃらない．看護婦さんに教えていただきましたというようなことをおっしゃる．私たちまいりますと「保健婦さんですね」というわけなんです．「いいえ，私は助産婦です」と一応お断わりして，自分が助産婦であることを大いにPRしなくちゃならない状態です．