特別企画 お産と出会う
「お産」と社会学とわたし
落合 恵美子
1,2
1同志社女子大学
2東京大学大学院博士課程
pp.396-403
発行日 1986年5月25日
Published Date 1986/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206874
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生きることと考えること
吉村典子さんのご著書(『お産と出会う』)の書出しに,「年若い友人からの便りに,『私もいよいよ出産の実践をすることになりました。夫立ち会いのラマーズ法を試みるつもりです』とあった。……産む女自身に産み方の"選択"ができるそんな時代がねえ……たったの10年でねえ」というくだりがある。わたしはここを読んで,もしかしたらこれはわたしのことかな,と勝手に思って,ふふっと笑ってしまった。
わたしが最初に「お産」を研究テーマに選んだのは7年前,お産を経験するどころか,それに先立つパートナーさえ見つかりもしない頃のことだった。大学の社会学科の卒業論文に,「産の社会史」というテーマを選んだのだ。そのままわたしは大学院に進んだ。それから5年後,ようやくわたしは自分のお産を体験した。それまでにいろいろ調べたことを参考に,自分なりに一番「いいお産」と思えるやり方を選ぼうとしたのはいうまでもない。
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