Medical Scope
分娩に関するハイリスク,ロウリスクの考え方
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.651
発行日 1985年7月25日
Published Date 1985/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206695
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ハイリスク妊娠,あるいは,ハイリスク新生児ということばは,私たちの日常の会話に何の抵抗もなくとり入れられ,非常に多く用いられています。そして,そのことばの意味する内容についても,私たちは自分では正しく理解しているようなつもりで用いていることも確かです。それなのに,なぜ,ここでその話題をとり上げるのかと不思議に思われる方もいるかもしれませんが,最近になって,一体,分娩に関してハイリスク,ロウリスクの区別ができるものなのだろうかという,このことばが示す内容に関しての原点に舞い戻ったような疑問が出され,一部で討論がおぎているのです。今月はその辺の話題をのべてみたいと思います。
周産期診療の分野では,ハイリスク妊娠ということばが数年前から用いられるようになりました。これは,何の合併症ももたない正常の妊婦,妊娠例に対して,何らかの合併症をもっている妊婦では妊娠中や分娩時に異常の発生することが多いので,妊娠の管理中あるいは分娩中に正常例より,より注意して細かい管理が必要ですよ,ということを管理者や妊婦自身に意識させるためには非常に響きのいいことばでしたし,私たちが妊婦管理をする上でも都合のいいことがずいぶんありました。
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