Hawaii Report
カミング・アウト
池上 千寿子
pp.778-781
発行日 1983年9月25日
Published Date 1983/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206313
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広いアメリカ—ホモ問題にみる地域性と人種差
"come out"といえば(本が)でる,(芽が)でる,(花が)咲く,(答が)でる,(〜に)なる,というような意味で日常的に使われることばですが,目下,特別な響きをもったスローガンになっています。それは,ホモセクシュアルのひとたちが,世の偏見に屈することなく「あるがままの自分を表現しようではないか!」ということなのです。このことはホモ,ヘテロを問わずじつは一番難しいことのひとつですが,ホモのひとたちのばあいとくに至難で,ホモであることは隠すのが当然とされてきました。
「アメリカといえばホモ解放運動のメッカ。今さらカミング・アウトですか?」とぎかれそうですが,これは"アメリカすなわらサンフランシスコ"式の大いなる誤解。ニューヨーク,シカゴ,サンフランシスコ,ロスアンゼルスなどをみてアメリカを語ろうとすると,とんでもない錯覚をしかねません。これらはアメリカの代表的都会ではあるけれど,地域社会としては特異といったほうがよさそうです。
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