サルとヒトの比較産科学・1
比較産科学へのいざない
大島 清
1
1京都大学霊長類研究所
pp.39-45
発行日 1980年1月25日
Published Date 1980/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205657
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I.プロローグ
これから1年間,「サルとヒトの比較産科学」という名目で,助産婦諸姉との交流がはじまる。あるときはあわただしい勤務のあい間を縫って,あるいは休憩時間に,そしてまたあるときは寮で足を投げだし,せんべいをかじっているあなたと。しかしおそらくは,ささやかだが真面目な討論の場で,お会することが多いのではないか。
みなさん方助産婦のほとんどは勤勉である,と私は信じている。非人間的ともみえる現況の勤務体制では,肉体疲労を回復させるのが精一ぱいではないか,と私でさえ思っている。しかし,そういう「逆境」の中でも,外国語を学び,着物着付けの講習会に通い,スポーツに汗を流し,文化研究会の世話をし,それどころか,小さなグループで外国語論文の抄読会もやっている。そんなことあたり前,と張り切った助産婦さんは思うだろう。しかし,しかしである。みなさんの中で,ひょっとして,助産婦であることに失望している人がいるのではないか。
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