今月の主題 脳機能
巻頭言
脳機能へのいざない
菅野 剛史
1,2
Takashi KANNO
1,2
1浜松市医療公社
2浜松医科大学
pp.1603-1604
発行日 2004年12月15日
Published Date 2004/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101122
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今月の主題は「脳機能」である.この領域が,画像診断に限られることなく,化学分析を中心としてきたわれわれにも手が届き,お手伝いができるのではないかという気持ちになるのは,PET(positron emission tomography)の出現によるところが大きい.それは,いろいろな元素で標識した化合物を機能解析に扱うことができるようになったからであると考える.少なくとも,陽電子を放出する放射線同位元素として,炭素(15C),酸素(11O)など生体の化合物を構成する元素が利用できることは,あらゆる生体反応を解析できる可能性を秘めている点で興味がある.
このことは,生体成分として水,酸素,グルコース,アミノ酸の代謝過程を追うことが可能であり,受容体に対して反応するリガンド,トランスポーターなどを介しながら,生体の代謝過程に関与する物質の消長と反応性まで解析できることを示している.まさに,研究面だけの利用ではなく,臨床的にも比較的非侵襲的に病態が解析できることを意味している.
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