助産婦事典
乳児突然死症候群
高橋 悦二郎
1
1愛育病院小児科部
pp.634-636
発行日 1979年9月25日
Published Date 1979/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205601
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乳児突然死とは
2階の子ども部屋で赤ちゃんを寝かしつけ,1階に降りてひと仕事してからまた2階に行ってみたら,赤ちゃんの様子がおかしく死亡していたとか,布団から畳の上に出てうつ伏せに眠っていたので,寝かせ直すため抱いたところぐったりしていた,哺乳ビンや乳首等を台所で洗って元に戻ってみたら,赤ちゃんが腹這いになったまま死亡していた,等々全く突然に,それまで元気でいたのに,急に何の原因かわからず赤ちゃんが死亡する場合を乳児突然死と言います。
このような突然死は大人にもみられ,日本では昔からポックリ病と呼ばれています。もともと心臓病があったり,喘息がひどかったり,最近問題となっている川崎病(急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)の時にも突然死ということがありますが,乳児突然死という場合には,赤ちゃんが全く突然に,一見元気に見えたものや,最後の病気が死亡するほど重くないのに,思いがけず死亡した場合を言います。そして生後半年頃までの赤ちゃんに多く,それ以後幼児期は余りみられなくなります。学童期になると運動中バッタリ倒れて死亡するとか,猛烈な受験勉強をしてフラフラになっているような時,突然死亡する例が稀にありますが,この場合心筋炎とか特発性心筋症等の心疾患,あるいは脳疾患等のかくれた病気が気づかれずにいて,死亡して病理解剖して初めて気づかれることもあるのです。
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