助産婦事典
新生児と音
室岡 一
1
1日本医科大学産婦科
pp.189-192
発行日 1979年3月25日
Published Date 1979/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205517
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新生児に聴覚があるのだろうか
1826年Jörgは新生児が,かん高く鋭い音に恐怖を示すことに気付いた。しかし同年,フランスの生理学者Magendieは,新生児は聾であるといって,新生児に聴覚が果たしてあるのかないのか議論された時代がある。その後,研究が進むにつれて,出生直後は分娩時のストレスのためか一時的に音に反応し難い期間があって,それを過ぎると,よく外界の音に関心を示すものであることが分かってきた。
この分娩後,つまり出生直後からどのくらいの期間,音への反応がないかは報告者によって相違しており,出生後10分(Poli),数時間(Moldenhauer,Kroner,Sacks),1〜3日(Preyer,Genzmer,Blanton),数週間(Sigismund)などいろいろであるが,私どもの調査では,生後数時間で音に感じるようになり,1日経てば大部分の例が明らかに音に反応していることが分かった。
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